目次
血中テストステロンの状態
血中テストステロンの状態には3ある
- 遊離型テストステロン(1-2%)
- アルブミン結合型(25-65%)
- SHBG結合型(35-75%)
この3つの型の合計がテストステロンの総量になります。
血中テストステロンのほとんどは性ホルモン結合グロブリン(SHBG)やアルブミンと結合しており、 ごく一部が遊離テストステロンとして存在しています。
一般に男性では、総テストステロン値は加齢とともに低下傾向を示しますが、同時に遊離テストステ ロン値は低下し、SHBG 値は上昇します。
ここで問題なのは、SHGB結合型のテストステロンは、タンパク質との結合が強固のため機能してくれないことです。
つまりSHBGが増えてしまうと、総テストステロンが多くても、テストステロン機能が衰えてしまいます。
男性ホルモンの95%を占めるテストステロンですが、テストステロンとして活発に活動してくれているのはその内の数パーセント~数十パーセントなのです。
一方、遊離テストステロンとアルブミン結合型テストステロンを生物学的活性テストステロンと言い、実際に機能を発揮するテストステロンです。
この2つのテストステロンの量が、多くすることがとても重要です。
遊離テストステロンを増加するには
では、遊離テストステロンを増加させるにはどうしたら良いのでしょうか。
ビタミンDは、遊離テストステロンを増加させる
医療関係者追跡調査で、男性 1362 名の血中ビタミンD濃度と総テストステロン、遊離テストステロン濃度の相関を見たところ、ビタミンD濃度が高い男性ほど総/遊離テストステロン濃度が高いと発表されました。
ビタミンD濃度が 75-85nmol/L(30-34ng/mL)以下では濃度依存的にテストステロン濃度が高くなりますが、それ以上は濃度に左右されずに水平を保つようです。
オーストリアグラーツ大学医学部の研究によると、テストステロンレベルが低くかつビタミンDが欠乏した男性群に、毎日ビタミンDを3,332IU(またはプラセボ)1年間投与したところ、1年間でビタミンDのレベルが2倍に高まり、十分な範囲(36ng/ml)まで達することを確認しました。
ビタミンDを摂取した男性群は、研究終了時にはフリーテストステロンのレベルが20%高まっており、プラセボ群はテストステロンレベルにもビタミンDレベルにも変化はなかったそうです。
ビタミンDの90~100%は紫外線によって体内で合成されます。
デスクワークや屋内で1日中過ごす人のほとんどはビタミンD不足の状態に陥っていると言えます。
インスリンレベルを高める
また、インスリンレベルが高いと、性ホルモン結合グロブリンのレベルは低下し、結果として遊離テストステロンのレベルが上がることとなる。
テストステロンの分泌量が少ない男性は、2型糖尿病のリスクが増加する。
減量すればテストステロンが増加する
大東製薬工業の試験によると。
肥満は男性の性腺機能低下症のリスク因子であり、体重減少は肥満男性の性腺機能低下症を改善する。
そこで、肥満手術後の性ホルモンの早期の変化を調査した。
肥満手術1ヶ月後にTT(総テストステロン)およびSHBGは上昇した。一方、FT(フリーテストステロン)は6ヶ月後に改善が見られた。
術後、総テステステロンとSHBGが共に増え、フリーテストステロンも6ヵ月後に増えたというい報告です。
脂肪組織は、コルチゾールの前駆体であるコルチゾンなどの化学物質の分泌を引き起こしますが、これらの化学物質によってテストステロンの生産が抑えられてしまうことが、これまでの研究でわかっています。
脂肪細胞の中にはアロマターゼという酵素があります。
この酵素は、体内のフリーテストステロンをエストラジオール(女性ホルモンの一種)に変える働きを持ちます。
脂肪の量が多ければ多いほど、アロマターゼの働きは活発になりテストステロンレベルが下がっていくのです。
つまり、BMI値が高いとテストステロン(男性ホルモン)はエストラジオール(女性ホルモン)に変換されやすくなるということです。
そして女性ホルモンの量が多くなると太りやすくなるため、さらにBMI値が高くなっていくのです。
BMIが25以上の男性は、標準体重の男性にくらべて40%もテストステロン値が低いという報告があります。
ですので、テストステロンレベルを高めるためには、まず体脂肪率を低くすることが重要なのです。
肥満がよくないですが、だからと言って体脂肪の減らし過ぎもテストステロンを下げてしまいます。
ボディビルダーを対象にした実験によれば、体脂肪を絞り込みすぎるとテストステロンは2割ほど減りました。
適正体脂肪率は15%くらいでしょうか。
筑波大学大学院の鰺坂隆一教授は、「運動」との関係を報告。中年の肥満男性31人を対象にウオーキングなどの中強度の有酸素運動を取り入れたヒト試験で男性ホルモンの増加効果があったという。
これも、体脂率の減少の結果かも知れません。
体脂肪率15%を目指して、頑張りたいと思います。
亜鉛の効果
テストステロンを増やすサプリメントには “亜鉛” が含まれているものが多いです。残念ながら亜鉛にはテストステロンを増やす働きはありません。しかしながら、亜鉛は抗アロマターゼ作用を持ちます。
亜鉛はテストステロンがエストラジオールやDHTといった他の物質に変化するのを阻害してくれます。
また、テストステロンの分泌を低下させるコルチゾールの生成を抑制すると言われています。
テストステロンレベルを増やすには、まず体脂肪を減らすことです。
そして可能な限り、亜鉛やキサントンなどの抗アロマターゼ作用をもつサプリメントを食事と一緒に摂ると良いでしょう。
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