TGF-βとは、何だ。
この名前を知っている人は、かなりのマニアックです。
ジヒドロテストステロンのその先にあるものなんで。
ここでは、TGF-βを、更に掘り下げてみたい。
TGF-βは、毛乳頭や毛母細胞の活動を抑制する因子として知られており、その作用が高まると髪の毛は成長期から退行期に移行すると判明しています。
脱毛を起こす指令はさまざまな原因で発生し、髪の毛に伝達されます。
DHT(ジヒドロテストステロン)は直接細胞に働きかけるのでなく、毛乳頭にある男性ホルモンレセプターと結合して脱毛因子「TGF-β」を増やします。
脱毛因子「TGF-β」は、FGF-5(髪の毛が抜けるように命令するタンパク)に伝達され、毛乳頭や毛母細胞へ「髪の毛よ抜けるよう」指令を出します。
研究の結果、FGF-5という因子が髪の毛の成長期から退行期へのスイッチとなっていることが発見されました。
FGF-5は、毛髪の成長期や退行期へのスイッチのカギとなる毛乳頭へ作用し、脱毛シグナルを出していると考えられています。
これにより、FGF-5が働かなければ毛周期は、早期段階で成長期から退行期には移らずに、成長期が伸び、毛が長く太くなるということになります。
また、FGF-5の対局にある因子としてFGF-5Sという因子が存在することも分かっています。
FGF-5Sという因子は、髪の毛が抜ける抜けるのを阻止する働きを持っていますが、加齢と共に減少していきます。
FGF-5 = 脱毛因子
FGF-5S = 発毛因子
そして、厳密にいえば髪の毛の状態は、「FGF-5」と「FGF-5S」のバランスで決まっています。
つまり、抜け毛は脱毛因子である「FGF-5」が発毛因子である「FGF-5S」より多くなることが原因で起こると考えられています。従って、FGF-5を減らすか、FGF-5Sを増やすことができれば、脱毛は防げるということになります。
マーティンゲイルらは、FGF-5の役割を調べるために、FGF-5遺伝子が働かないノックアウトマウスを作りました(遺伝子を働かなくして、機能を調べる方法)。
そして、FGF-5が働かないマウスは、普通のマウスよりも体毛が長くなるという結果になりました。
FGF-5が働かないことで毛は長くなる。
言い換えると、FGF-5が働くことで毛は短くなる。
よって、FGF-5は、『毛を短くする役割(脱毛)があるのではないか』と推測されます。
FGF-5が、脱毛を促すタンパク質である。
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